PM試験 科目B-2(午後Ⅱ)
PM経験がない人のためのPM試験論文ネタの作り方
正式なPM経験がなくても、論文の素材はあります。自分が関わった業務の中から、課題を判断し、誰かと調整し、結果を確認した場面を取り出しましょう。
PM経験がないことと、論文の素材がないことは別
PM試験の科目B-2(午後Ⅱ)では、PMとしての視点で、課題をどう判断し、どう行動したかを具体的に説明します。しかし、会社で正式にPMという役職に就いた経験だけが題材になるわけではありません。
担当者、チームリーダー、サブリーダー、利用部門との窓口、運用担当などとして関わった仕事の中にも、計画、調整、優先順位付け、リスク対応の場面があります。大切なのは、実際に自分が担った範囲を正確に書き、その範囲での判断と行動を掘り下げることです。
役職や権限を実際より大きく見せる必要はありません。自分で決裁できなかった場合でも、どの情報を集め、誰へ提案し、どのように合意を得て実行したかを書ければ、PMとしての考え方を示せます。
まずは「判断・調整をした場面」を探す
経験を探すときは、プロジェクト名や担当業務ではなく、自分が困った状況へどう関わったかから思い出します。次のような場面は論文の素材になりやすい候補です。
- 仕様変更の影響を調べ、関係者へ優先順位の見直しを提案した
- 期限に対して作業が遅れ、担当の割り振りや確認方法を変えた
- 利用部門、開発、運用、外部委託先の間で認識の違いを調整した
- 障害や品質上の問題について、原因・影響・対応順を整理した
- 手順のばらつきや属人化を見つけ、業務改善を進めた
- 小規模な移行、研修、社内導入で、計画と役割分担を取りまとめた
「会議に出席した」「作業を担当した」で終わる経験は、論文にしにくいものです。その会議で何を確認し、どの選択肢を比較し、次に何を実施したかまで思い出してください。
自分の役割と権限を正確に決める
論文では、PMらしい内容にしようとして、実際には持っていなかった決裁権限まで書かないようにします。代わりに、役割に応じた行動を明確にします。
| 実際の立場 | 論文で書けるPM的な行動 |
|---|---|
| 担当者 | 現場の事実を収集し、影響を整理して提案した |
| サブリーダー | 作業の進捗・品質を確認し、優先順位や役割分担を調整した |
| 利用部門の窓口 | 利用者の要望を整理し、開発側と合意形成した |
| 運用担当 | 運用上のリスクを可視化し、改善案と確認方法を決めた |
例えば、最終決裁を上司が行ったなら、「私は決裁した」と書くのではなく、「私は影響範囲と代替案を整理して上司へ提案し、承認後に関係者へ実施内容を共有した」と書きます。事実に沿うほど、判断の根拠と行動に無理がなくなります。
一つの経験を論文の骨組みにする
選んだ経験を、次の順にメモします。
- 目的と制約: 何を実現する仕事で、期限・品質・体制などにどんな制約があったか
- 課題: 目標と現状の間に、どんな差が生じたか
- 判断の根拠: どのリスクや影響を重く見て、なぜその対応を選んだか
- 具体的な行動: 誰と何を確認・調整・実行したか
- 結果と評価: 何を基準に効果を判断し、何が課題として残ったか
この五つがそろう経験なら、設問アでは目的・制約、設問イでは課題から行動まで、設問ウでは結果と評価を置けます。一つの経験に複数の出来事を詰め込まず、最も判断を説明しやすい課題に絞るのがポイントです。
架空ケースは練習用に使い、本番は実体験に戻す
経験がすぐに思い出せないときは、架空のプロジェクトを使って設問の読み方や論文の構成を練習すること自体は役に立ちます。特に、課題、判断、行動、評価の流れを作る訓練になります。
ただし本番で使う題材は、実際に関与した仕事を土台にしてください。架空の役職、予算、権限を事実のように書くと、質問に応じて細部を説明しようとしたときに論旨が崩れます。練習した構成だけを持ち帰り、自分の経験で説明できる事実に置き換えるほうが、具体的で一貫した論文になります。
題材として使えるかの最終確認
書き始める前に、次の四つへ「はい」と答えられるか確認します。
- 自分の立場と責任範囲を、誇張せずに説明できる
- 課題を、理想と現状の差として具体的に説明できる
- なぜその対応を選んだかという判断根拠を書ける
- 実施した行動を、結果または評価までつなげられる
この条件を満たす小さな経験は、名前だけ大きいプロジェクトよりも、科目B-2(午後Ⅱ)の論文題材として使いやすいものです。